本を出したい経営者の動機は、たいていシンプルです。有名になりたい。一流だと思われたい。ベストセラー作家になりたい。
その気持ちはよくわかります。世間の評価はイメージ先行で判断されるものだからです。業界のプロなら商品やサービスの品質を細かく見分けられますが、消費者には専門知識も業界知識もありません。有名なら、評判なら、口コミ数が多ければ「一流」というイメージを抱いてしまう。
「手に取ってもらえれば、良さがわかってもらえるのに」「知名度がないから見向きもされない」「品質では負けないのに、見せ方のうまい競合のほうが売れている」。そんな悔しい思いをしている経営者の嘆きを、何度も聞いてきました。
出して終わりにしないこと
ただ、単純に本を出すだけでは望む成果は得られません。
- つくったはいいけれど、自社の宣伝本になってしまった
- 提案されたプロモーションをしたけれど、期待した効果がない
- 大量の在庫を抱えてしまい、さばくのが大変
出版に後悔してしまう例は後を絶ちません。「なんとなく、本って使えそう」という空気のなかで、活用法をよく理解しないまま出版に踏み切ってしまうからです。本は出して終わりではなく、むしろ出版からが本番です。
買わせることはできないが、届けることはできる
不思議なことに、著者の多くは本業には自信があるのに、いざ本を書き出すと「自分のコンテンツは魅力に欠ける」「インパクトがない」と言います。そして売るために、無理やり時流と結びつけたり、画期的なメソッドであるかのようなタイトルをつけようとする。
注目されるために流行の波に乗ったり、革新性を謳うのは有効な戦略です。ただ、実態と乖離すれば空虚なメッセージになりますし、レトリックだけでは読者に見透かされます。
大事なのは、自社の核となるメッセージを掘り起こすこと。そして同じくらいのエネルギーを、読者へ還元する設計に注ぐこと。つくることと広げること、この両輪をしっかり回せば、出版は必ず結果を出せます。